2023年8月2日 それは突然やってきた。7月終わりごろにいつもとは違う肩こりがある。左腕があがりにくい。とのことで、万が一と思い乳腺外科を予約させた。体重も減っていないので正直がんとは全く疑っていなかった。仕事を終え「どうだった?」と聞くとさらりと「うん。がんだって。」その様子はまるで悪い冗談のように思えた。が続けて、「エコーしか見てないけど、確実にがんだって。」目の前が真っ暗になった。それは自分の中でがん=死であり、余命宣告をされたような気がしたからだ。それから1週間、全く眠りにつけず、30分おきに目が覚めている状態が続いた。そして何といってもまだ3歳になりたての歩夢のことだ。人よりも発達、言葉が遅れているせいで療育手帳を持っている。完全なる障害とは違うものの市からはそのサポートを受けているのだ。主には療育教室で保育園とはまた違う個別の指導を受けるのだ。歩夢の場合、落ち着きがない多動の気と言葉遅れだ。特に生活に支障はないが、言葉が出ない分、行動で示す傾向がある。気に入らないことがあると物をテーブルから落としたり壁に投げたりと手に負えないこともある。そんな中、私の不在中一人で面倒を見ていたのだ。その彼女が今回の事態を受け一番ショックを受けていた。検査のためにいろんな医療機関に同行し担当医から私も説明をうけた。最低でも8か月、場合によっては1年半抗がん剤治療をしなくてはならない。さらにホルモン治療が通用しない種類トリプルネガティブという乳がんの中でも確率の低いがんであった。先生のサバサバした態度と治す自信なのかとてもたくましい姿を見ていると不治の病とは感じなくなっていた。そうして本人も歩夢のために全力で頑張るという思いで抗ガン治療は始まったのだ。3週間で1クールの抗がん剤投与は投与したあと約10日間は全く動くことができない倦怠感に襲われるのだ。薬もかなり進歩したため吐き気をもよおすことはないが、食事のコントロールが難しくちょうど妊娠時のつわりと様子が似ている。現に食べづわりのため5キロ以上一気に太るのである。がん=痩せるは成り立たないのである。先生に聞いても乳がんは別に痩せないとの答だった。入院することもなく血液検査や問診以外は普通に家で暮らせるのである。がその10日間だけはまるで息をしていないかのようにぐったりしている。この間はなるべく早く仕事を切り上げて家事をするのであるが、どうも私の家事は気に入らないらしく家中荒れ果てた光景となる。この程度の我慢はたいしたことはないが、仕事とのダブルのストレスは計り知れないダメージを与えてくる。合計8回予定の抗ガン治療も半分に差し迫った。がんの大きさは6㎝から2㎝まで小さくなり一定の効果は見られている。全摘手術もこれから予定組に入るはずだ。そして本当の闘いはこれから始まる。