ゴールデンウイークの真っ最中、ちょうど折り返しを過ぎた今、どうしてもやらなくてはいけない仕事がある。3月末決算数字のドラフト作成と見直しだ。瞬間的に家族には迷惑をかけるが、どうしてもこの時期でないと駄目な理由がる。それは5月・6月に補助金を受けた年度報告を作成しなくてはならないからである。普段から報告には手をかけていればいいのだが、ある程度の数字が確定しないと作成できないというタイミングの問題もある。
補助金を受けるには一定の条件があるのだが、ざっくりいうと「付加価値額」の上昇である。「付加価値額」とは会計上のそれとは似ているがわずかにニュアンスが違う。補助金の場合、営業利益+減価償却費+人件費だ。営業利益はまさに本業でたたき出した利益のことで本業以外の臨時収入的なものは含まれない。減価償却は単純に本業で稼ぐための設備投資の費用計上、人件費は単純に役員報酬以外の人件費だ。これを補助金を受けたあとの一定期間数%上昇させる条件がある。すべての補助金に該当するわけではないが、粗方内容は同じである。単純に数字を羅列すればはじき出せるのだが一定の要件を満たさないと補助金返還などと言う大きな✖が下るのである。国民の税金を使って補助を受けているのだから当然と言えば当然だが、このポイントを上げるには非常に困難を要する。この要件を満たす自信がなければ補助金を受ける資格はないのである。そしてこれが「中小企業よ、応援するからがんばりなさい!」「3つをクリアすれば補助金出すよ」という国からメッセージなのである。やったー!補助金申請が通ったと喜ぶのもつかの間、この年度報告が実にきついのである。補助金を受けるメリットは一時的な大きなお金の半分や三分の2程度を支援してくれるのだから中小企業にとっては大きなチャンスなのだが、同時に会社の力量を把握する、改善するなどの別の意味でのメリットもあるのだ。しかし、コツコツと日々決算、月次決算、四半期決算、半期決算を行う中小企業は少なくほぼ皆無であろう。このいわゆるツケみたいなものがこの時期に回ってくるのである。補助金自体は金額面、改善面では大きなメリットである。しかし入った補助金は雑収入として計上され最終的には税金の対象となる。そうしてある一定期間払い続けるのであるから金額のメリットはさほどないのである。雑な言い方をすれば金利のないローンみたいなもので10年後結果を見ればわかるが延命されたに過ぎない。しかし、金額以上の会社の力量把握、決算集計の仕方、原価計算把握できる大きな副産物があり、特に改善については自発的に行える唯一のチャンスなのではないかと思っている。
中小企業は補助金を受けただけでは生き残れない。補助金事業はあくまでも一時的なものであり、未来永劫のものではない。ではどうすれば中小企業は生き残れるのか?これがこのゴールデンウイーク中にやるべき大きな仕事である。個人的にはこの補助金事業、改善事項とコアコンピタンスだと思っている。コアコンピタンスとは弊社の大きなマネジメントの軸であり、私的にも好きな考え方である。簡単に言ってしまえば、競合他社が真似できない、市場に有益な正解最高水準の技術生産力、他業界でも生かせるノウハウなどいくつかの条件的なもの兼ね備えた考え方であり、弊社の一番の柱、唯一無二という考え方に繋がっている。この唯一無二と国が応援する付加価値額の創出こそが中小企業の生き残る道と考えている。
では具体的にやる今年やるべきことは何か?
それは製本会社が作る製本機械、周辺機器の製造と販売である。一見すると同業他社に優位性を与えてしまう内容だが、それでいいのである。他に真似できない、そうしてその技術そのものは圧倒的な高い技術水準になるのだから。私に足りないことは沢山あるがそれは異業種の方から取り入ればよい。初めから大きな売り上げを得た会社など1つもないのである。この初めの一歩を大事にそして大胆に取り組みたい。そして本業の紙の技術、それは「捨てられない本を作る」ことに集中し、デザイン製本会社としての地位を確立することも併せてやっていきたい。
だいぶエキサイトしてきたので、思いはここまでにしよう。