終わりの始まりか

久しぶりの投稿になる。これと言って忙しいわけではなかったが、妻の容体に変化があり、少しメンタルをやられてしまいなにをやるにしてもやる気スイッチが入らずダラダラと過ごしてしまった。毎年、妻の母を連れ自分の家族と家族旅行をすることが決まっている。と言っても自分の中のルールで経済的な面、時間的な面が合致すれば行けるのであるが、ここに時間をさけるようなスケジュールが上手く作れるかは自分にとって大きな課題であるため1年に1度くらいはという思いで目標設定しているのである。さて、今年も5月連休に計画を立て、妻の抗がん治療のタイミングを見て、かつ担当医の先生の許可をもらいながら何とかうまい事実行したのであるが、旅行前日あたりから妻の具合がすこぶる悪い。抗がん治療を始めて8か月目にして最大の試練の時がやってきた。4月半ばに一旦抗がん治療を中断し5月中旬にいろいろ検査をして今後のスケジュールを決めることになっていたのだ。抗がん治療中は週の半分程度具合が悪い程度だったのに止めた直後から足のしびれ、けだるさ、不眠、食欲不振が続き体中がむくみ始めたのだ。

旅行中止も考えたが、本人の強い希望もあり強制決行した。しかしながら車の中ではぐったり、旅先でも思うように歩くことができず、何とか温泉は入ったものの食事は1口も取れずほぼ寝たきりであった。結果、宿泊した翌日朝起きてすぐに帰宅へ。本人も辛いが周りもどうにもしようもなく、ただ同じ時を過ごしたに過ぎなかった。行ったことに後悔はないが、自分なりの計画が上手くいかなかったことにはモヤモヤ感が残った。その後の検査でがん細胞はほぼ死滅状態であることは変わらずであったため抗がん剤治療の中断は継続することになった。うまくいけば外科手術もなく、定期健診ですむレベルまで回復していた。しかしながら副作用と思われる不調の原因はわからず、再度様々な検査を行った。結果が出るのは一週間後ということであった。原因がわからないことに更にモヤモヤ感が増し、仕事も何も手につかない状態が続いた。当の本人は更に不調が増し、2週間でうどん2本とコーンスープを少し舐めた程度であった。そして不眠は最高潮になりほぼ寝れない状態が続いたのだ。そして検査結果が出る予定日より5日も前に病院から1本の電話が。

内容はすぐに病院に来て欲しい。できればご家族の方も一緒にということであった。この状態でいい結果のわけもなく事態は深刻であるることは容易に想像でき、モヤモヤ感が一気に恐怖へと変わったのだ。先生から副腎が不全を起こしている、副腎とはホルモンを調整する臓器の中ではマイナーなものであるが、以前飼っていた愛犬サンクがこの服腎不全を起こしクッシング症候群という聞きなれない病気で食欲が増すが筋肉が作られず、そのためステロイド薬を飲み続け腎臓や肝臓に大きな負担をかけ最終的に腎不全、多臓器不全となり亡くなったのだ。これと同じ現象ですか?と先生に問うと限りなくクッシングに近い状態であると。そのため今すぐに点滴投与し翌日からステロイド治療しないと命の危険があると。

正直、このやり取りは覚えているもののそこから数時間の記憶が飛んでいる。気が付けば翌日になっていたと思う。本人はステロイドの効果がすぐに効き食欲も戻り不眠も解消された。ただし、治ったわけではなく、副腎自体は依然不全を起こしておりどこまで復活するかはこれからの経過観察となったのだ。いったんは命の危機から脱したもののステロイドを飲み続けることは、サンクの経験からも何とか避けたいと考えていた。その後の検査では安定的な数字のため、30%くらいまでは回復したのかなという実感である。

さて前置きが長くなったが、これは妻の容体報告ではなく、あくまでも自分の時間が上手くさけなかった、投稿せずにいた利用である。本題であるが、そうこうしているうちに7月の梅雨時期もまもなく終わりに近づいている。印刷関連の業界はこの時期は換算時期であり、1年の間でも最も仕事が軽くなる時期である。今年も例年以上に仕事は軽く、会社規模を粛々と縮小していたことにほっとしているところだ。去年一昨年の規模でやっていたら相当大きなマイナスを作ることになっていたはずだ。逆に縮小した分だけ仕事の穴も少なく新規のお客も増えた状態となった。設備の更新も進み景気が悪い中でもまだまともな数字をたたき出せている。

ただ、この業界の閑散期は次が見えるから乗り越えられるが今年は様子が違う。何がといえば上手く言葉にできないが肌感覚で流れが明らかに例年とは違うのである。周りの同業他社の様子と比較しているわけでなく、ただただ何か違うのである。量が極端に減ったわけでもないし資金繰りがかつかつでおかしくなっているわけでもない。ただ様子、漂う空気がおかしいのだ。この感覚は投資のチャートと似ている。例えば上昇トレンド、テクニカル的にも明らかに上昇、含み益もある。でも何か違う空気がある。相当チャートを解析してもわからない。AIデータを見てもわからない。ただ、明らかに何か違うのである。そうして数日後この予感が当たり大きく下落トレンドに変わるのである。自分はこの勘でトレードするほど勇気がないので一気に下落トレンドに舵を切ることはしないが、どうもその感覚と似ている。業界は間違いなく下降線をたどっていて緩やかな下落線をはっている、いわゆる低空飛行を続けているのであるが、何かわからないが更に下落する予感がしている。どこかの言葉を借りて言えば、「終わりの始まり」という感じである。どこで着地するかはわからないが、少なくともあと10年以内には産業として成り立っているかどうかといったところだ。もちろん印刷も紙のなくなりはしない。ただ一般的な産業として成り立つかどうかである。もしかすると今ではなく、この終わりの始まりは2000年付近のデジタル元年に訪れていたのかもしれない。

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