後工程を知ることが早く仕事を覚える

製本の工程で、特に平台印刷、小冊子の製造工程は仕様や会社の設備によって違う。すべての製本機械のスペックを知ることは途方もなく時間がかかる。一般的に中綴の小冊子の場合は寸法やページにもよるが、平行折という折り方の仕様を使うことが多い。場合によっては中綴製本の特徴、見開きページを合わせるなど品質に関わることも多い。そのため、平行側に紙を折っていくのである。2つ折りが基本となり、同方向に巻いたり、ジャバラにしたり・・。1回2つに折ったものを向きを変えて直角に折ろうとすると紙厚が邪魔してデザイン上見開きはあっているのに仮に精度のいい機械でその折を折ってもコンマ代のズレが生じる。2枚重ねた紙を手で折って見るとズレに気が付く。さて、今回はカレンダーの冊子上のものの受注がありこのパターンに出くわした。平行巻き折り8ページ仕様までは良かった。担当者もカレンダーの罫線のズレを気にしてこの仕様にしたことは想像がつく。問題はここからだった。中綴じの場合、巻いて折った場合には小口側の紙寸法をずらす必要がある。多くの製本機の場合、ノド側をグリッパーでつかんだ後、本文を開かせるため紙のずれたラップと呼ばれる部分を別のグリッパーで強制的に本文の真ん中ページを開かせるのだ。ずれた部分のラップがない場合にはエアーどりと言って紙の端を1枚エアーで吸い付けるのである。こうして機械構造に合わせて印刷の余白を作るのであるが、今回ラップ部分が本来はぺら側につくはずのものが袋側についていたのだ。そのため本来は4pー5p目が開くところ、3pー4p目で開く現象ができてしまう。細工をしながら製本することとしたがこの細工も万能ではない。イレギュラーも起こる。作成は20,000部であったが時間サンプルで採取した本がこのような状態となって針金がセンターページに打たれない本を1冊発見したしたのだ。どのタイミングで発生したかは不明だ。しかしながら発見した以上再検査するしかなく、人間と時間をかけ検品することになった。20,000部の検査料金はざっくり50,000円以上かかる。幸いにも不良本は出なかったが、検査代で製本代がすっ飛ぶことになった。無料で製本したのと同じ結果なのだ。印刷の担当者はこの事実は知らない。教えるべきと思い即刻連絡をした。帰ってきた答えは製本できたならとりあえず良かった。次回は面付け確認しますね。とのこと。問題提起から改善につながったことは良かったのだが検品した費用は誰が負担するのか?結局のところこのような問題は加工をした会社がすべて負担しているのである。

製本会社、印刷会社もそうだが、このような内容が業界を悪くさせている。仕事の量は減った。単価も中々上がりにくい。みんな同じ条件だ。しかし、このような隠れた貰い事故みたいなものが無くなれば業界ももう少し違った形になっているのではないかと思う。冊子作成の後工程には製本がある。製本のあとにはロジスティックの工程がある。後工程を知ることが仕事の覚え、品質向上、最後は会社の明るい未来へとつなげる近道である。

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