見積もりの仕方に変化

昨年夏あたりから見積もり依頼件数が急激に増えた。増えたと言っても漠然としているが1週間の見積もり問い合わせ件数で比較すると23年7月平均11件、24年1月平均28件。倍以上になっている。2月に入ってからは1日で22件と異常な数字だ。一般的な製本の質問、対面での商談も軒並み増え続けている。これは何を意味するのか?

単純に世の中の動きが活発化したとはとうてい思えない。業界内での単価上昇の動きがあり再見積もりをする段階にきているのか?理由は分析して調査するしかない。今のところ途中段階ではあるが、製本の中でも少し特殊なもの、例えば抜き型を使用したり、糊を使うものであったり、100社の同業の中でも数社しかできないような案件が大半だ。一般的ではなく、特殊な本を作る傾向にあるのがトレンドなのかも正直わからないが、印刷前工程の制作会社やデザイン会社などは製本の工程知識は乏しい。大まかな動きがわかる印刷会社の担当レベルで高度な技術を必要とする製本知識には太刀打ちできないのである。私自身、この知識と技術と人心掌握術を強みとしているのでここに問い合わせが集中してくることも理解している。しかしそれにしても異常な量だ。うれしい悲鳴ではあるが一般的な製本と違い、見積もる際にはほかの機械や人間のことも想定した値動き、時期的な要素、実際に仕事をする季節感なども瞬時に想定しているため単純に1円です、2円です、10円ですなととは言えないのである。私のデスクはメモ書きだらけとなり収集のつかない状態となっている。上手くフォーマットにまとめて簡単見積もり表など作ってみたが実際に活用している方は数名であり、例外が発生するとすぐに問い合わせとなる。

問い合わせ件数増加は自分的には狙い通りであるためいい出来事なのだが、正直作業量の多さで頭が回らない。1日6時間以上見積もり作業に時間をとられると目がチカチカして結構な疲労に代わる。愚痴っても仕方ないが、見積もり代金が欲しいくらいである。実際見積もりして仕事が決まるケースは10%も満たないのでこの数字を上げれば問題ないのかもしれない。そのためには見積もり単価を下げるなどの行為をすれば良いがそうもいかない。

さて、会社の経営とリンクするこの私の一連の作業も含め多くのことが頭をよぎる。もし経営権、いわゆる設備、人材(技術)、営業権、私の頭の中を全部まるごと買い取ってくれる会社や人がいれば募りたい。現在マッチングするセンターや業者や埼玉県には相談しているが具体的な数字を出さない限りこの話はすすまない。そして何より、私の体、頭の中は次世代に引き継ぎたいという思いで数年かけて伝授して一線を退きたいのである。見積もりの話とは大きくずれたが根底にこの考えがあるため自分的には見積もり相談件数の増加はリンクするのである。今が旬、売り時、買い時である。投資的にいうなら今がエントリーチャンス、短期間トレードで利確である。

こんなことをぼちぼち考えながら週末の静かな時間を見積もり作業に追われるのである。

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