目が見えなくなった

いつかはこんな日が来るとは思っていた。愛犬カレンと一緒に住んでから16年9か月。心肺を止めてやる大規模な心臓手術からまる3年がたった。心臓肥大による肺水腫から奇跡的に回復して激しい運動をすることもなく、比較的おだやかに過ごしていたのだが、この日がやってきた。どうも歩き方がおかしい。てんかんの薬とステロイドを飲んでいたのだが一向に治る気配がない。薬による副作用もあるので、いったんすべての薬をやめてみた。すると元気を取り戻し走り回れるようになった。がしかしその2週間後、突然目が見えなくなり、においもかがなくなり、どうも耳も聞こえなくなった。昨日まで普通の状態だったのだが一変したのだ。なんとか食事はするものの不安そうに壁を伝って歩いている。おそらく病院に行ってももう治ることはないと思う。それより治療や薬を無理やり飲ますより自然な状態でいさせようと思う。

カレンの元気いっぱいの姿をみることはおそらくないと思うが、懸命に駆け抜けていつも一緒に過ごしてきたこの期間は決して後悔のない実のある人生だったと思う。まだ命はあるが、これがカレンの人生だったと思う。残り少なくなった余生を十分堪能してほしい。自分としては十分な覚悟をしているが、この表現しようのない圧力は何度経験しても耐え難いものがある。あと何年、数か月生きられるかわからないがカレンなりの人生を歩んでもらいたい。

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